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2011年12月11日(土)15:00〜 ルノアール会議室西日暮里
東京街道塾9回目
ルノアール会議室西日暮里が使えるのは2時間。11名の参加者、単純計算で1人当たり11.91分(少数第3位四捨五入)という条件。会議室利用者は必須であるというドリンクの注文により、15:05の時点でテーブル上はグラスとカップで埋まっていた。とても写真を広げられる状況ではない。尾仲氏は「早く飲んでさっさと始めよう」と提案したが、ホットを頼んだ湯浅、五位野、曽根は、淹れて5分と経たぬ熱々を一気に流し込めない。なぜ私はホットを頼んでしまったのだろうか/割愛。
以下、塾生の写真に対する尾仲氏の発言(・)
1 五位野 作った本5冊
「1枚の写真でというよりは
本という形でスナップを考えてみたい」
・これは写真家のやる仕事ではないかもしれない。
・ 写真(セレクト)をどうしていくか。どうしてこの写真を撮らなければならなかったのか。
・ 鈴木清の写真は、あの人が撮らなければならなかった写真だった。
・ 数をつくる時期も大切。
・ ひとつの本の完成度を高めていくことも大切。
・ ドイツのブックフェアに出品されている本は、本という形にとらわれていない。
・ そういう場所をめざすのも手。
2 奈良 カラー数十点(テーブル上が埋まるくらい)
「撮っていたものからピックアップ、プリントアウト
どぎつい写真も撮ろうと思っている」
・ 若者みたい。どういう風に見せたいのか。1枚1枚は面白いが、どういう
場で見せたいのかを考えることは大切。
・ 取材的な写真に見える。
・ キマリすぎていると、画面のパンチ力がなくなる。撮ってればうまくなる。それを意識化する。わけわかんないものは少なくとも興味はひかれる。何ものにも収まらないものが入ってもいい。説明する必要がないようなもの。もっとぐちゃぐちゃでいい。
・ 自分が写真で何をやっているのか、「わかってる?」「わかってるね君」という見せ方。みんなそういうところがある。
・ みんながやってるからではなく、そういうものをぶっこわせる写真がいい。
3 湯浅 モノクロ
「山梨の上野原
上野原を撮ってきたわけではない」
・ 写真っぽくなってきた。
・ プリントが格段によくなってきた。
・ モノクロはトーン。何が写っていようと、それだけで気持ちよくなるマジックがある。
・ 自分が何を見せたいのか。プリントはできて当然。自分はこういうものが気持ちいいんですよという自己判断がこれからは大切になる。
・ それはよくないこともある。外国に行ってもそれを探したりとか。雨が降ったら撮れないとか。光と影に反応しているだけになる。
・ 写真の本質はそこなのか。
・ それは使えばいい。
・ そこで悩みなさいよ。
4 高柳 モノクロ 13枚
「手術の後、右目の感覚が変わった
素直に撮りたいところを撮っているが
今までとは自分の立ち位置が微妙に変わったことがおもしろかった
キマッタ写真が自分には曖昧なものでも、それを確認しながら撮っ
ている」
・ むずかしい写真。
・ すごく微妙なアングルで撮られている。
・ 曖昧さも含めて写真の表現。どれがいいかではなく。鈴木清の写真も彼にとっては必要だった。
・ 失敗はないというのが写真。
・ それぐらい自由に扱えるのが写真だと思う。
・ これで今の自分が表現できていれば成功なわけで、10年経ってこれらが残るのかは別として、写真は常に曖昧なんだと思う。
・ タイトルをつければ見えが変わる。現場写真と言えばそう見えるもの。
・ その曖昧さがおもしろい。
5 紙屋 カラー 21枚
「住宅街の写真
どうしてもおばちゃんを撮ってしまう」
・ 今回こわいのは車。狙ってくるようなこわさ。
・ 静かな狙われ方。
・ いわゆるスナップの範疇ではない。ドイツの写真のような。光の落ち方のせいかもしれない。
・ 街でカメラを向けられればあきらめるけど、住宅街で撮られるのは嫌。
・ どんどん深いところに行きそう。
・ 偶然でしか撮れないものだけど、数撃ちゃ当たるでは通用しない写真。
・ おばちゃんは撮りやすい。
6 松井 カラー ファイル×2より十数枚
「これまでに撮ってきた足利周辺の写真
冊子に載せるものとして並びを考えた
タイトルは年号でいこうかと思っている
写真をもう一度始めた年でもあったから」
・ これで始まってこれで終わるのはどうだろう。
・ 北関東の枯れた雰囲気で考えると浮いてしまうものもある 。
・ ページを開く度に展開があると面白い。
・ 人工的なおしゃれタウンではなくて、すくいようのない写真の方がいい。
・ 組みようはいくらでもある。差し替え、組み替え、、、、、、、、、これくらいさびた感じでもいいと思う。
・ バリエーションがある方が面白い。
・ あーでもないこーでもないって悩んでください。
7 小林 カラー
「今まで撮ってきた写真を振り返ってみて
まだ捨てきれていないと思った
写メで撮ったものもある
結局はこういうものが好き」
・ 中華街のスナップはやめた?
・ フレーミングのセンスがいい、上手に切り取っている。
・ 得手、不得手ってあるもの。
・ 写真ってリアルなものだけど、そうではない見せ方もある。
・ 興味のあるものを撮るのが一番。
・ わからないもののほうがえらいってわけではない。そういう風に見えるだけのこと。
・ そこに何が写っていないかを考える。それの繰り返し。
・ それもそのときの思いだから、後で見たら、なんだってことになる。
・ そのためにも数撮る。写メでもいいから撮ればいい。
8 岡島 モノクロ10枚
「住宅街」
・ 岡島さんらしさがでているのもあるが、いつもよりおさまりがいい。
・ 押しもしない、引きもしない、距離感が面白い。
・ これですと言い切らないところがいい。
・ こういう写真が床の間に飾ってあるとこわい。
・ 漠然と雰囲気は伝わるが、どういうタイトルでくくるのか。
・ その世界に入り込めるようなタイトル。
・ モノクロは雰囲気が出過ぎる。
・ ここまで重すぎなくてもいい。もう少しフラットな方が伝わると思う。
9 曽根 カラー 写真集作成の為の見開きで構成
「フランス、
パンにこだわりたい」
・ 最初からがつんといけばいい。後々パンが出てくるわけだから。
・ 遠景が続かない方がいい。
・ 形で組んだ見開きがあってもよい。
会議室に設置された電話が鳴る。
「ご利用時間終了10分前でございます」
鴬谷のそら塾へ徒歩移動。
藤田進、岡部文2人展『BORDER』が開催されている。
一同2階へ上がると、そら塾がみしみしと揺れていた。
尾仲氏は日本家屋の構造を教授し、柱の上に移動するように言った。
曽根続き
・ 終わり方が弱い。
・ かっこいいけど男っぽい写真は、この中に入れると浮いてしまう。
・ 抜けるページも必要。
10 程田 カラー 写真集作成のための写真
「iphoneで撮った食べ物と自分の顔のアップ
見開きで並ぶ8組16ページ構成
CDジャケット
展示時は大きく伸ばす」
・ もっとジャンクなもので押した方がいい。
・ おしゃれな食べ物はいらない。
・ カロリーオーバー。
・ 単品で行こう
・ タイトルはいらない。このままでいい。
11 中川(大阪街道塾から) モノクロ ファイル
「おばあちゃんの家
過疎の町でどんどん家がなくなっている
ずっと撮っていたものをワークショップを機にまとめたい」
・ ニコンが好みそうな写真。
・ 枚数が増えて分散してしまった。
・ 縦横をそろえた方がいい。
・ ゆるいトーンと硬いトーン。トーンを固めた方がいい。
・ ストーリーを作るといい。
・ 見開きよりも、1枚ずつの方が見やすい。
・ もう少し写真の中に情報がほしい。
ここで、PHITOGRAPHICA編集長沖本氏現れる。
以下沖本氏の発言
・ 縦、横で、本を動かさなければならないのはよくない。
・ 目の中心がいくものでつなげて行くこと。
・ その中心が家なのか、道具なのか。
・ 物語に没入させるような誘導が必要。引きの家を導入にするなど。
・ 人物のショットをどこにいれるか。
・ トーンはねっとりしていてもいい。
・ 家族アルバムとは違うものを作る。
・ 状況証拠ばかりみせられているように感じる。
・ 抜けのいい庭の写真を効果的に使うといい。
レポート担当は 松井です。
会場 :馬橋会議室
松井 カラー 8枚
「街の写真って 、ここはイイなぁ〜と思って待っていると 新幹線が来たり、飛行機が飛んだり、人が歩いたり 犬が来たり どんどん変わっていくから そこが面白いですよね。僕も《Tokyo Candy Box》を撮る前に街を撮ろうと思って、6×9にリバーサルを詰めて撮ってたことがあるけど、 6x9ではフィルム代高いからたくさん撮れないので、ここと思ったところで ずっと待っている訳ですよ・・ここのポイントって決めたら そこで ずっと待ってて、たとえば渋谷だと銀座線が来て 東急のバスが来て 人がこう 降りてきて・・・・みたいなタイミングが重なるところをずっと待ってるんだよね。なんか そういう楽しみ方が 多分 都会での撮り方の中には あると思うんだよね。で 曇ってきちゃったり陽が傾いてきちゃったら『もうダメだなって 今日は もう終わりって』 そういう撮り方が あると思うんだよね。なんか釣堀に行く感じだよね。川に釣りに行くんじゃなくて 釣堀なんだよね。」
「撮っている人の興味も見る人の興味も一枚の写真の中に等しく写り込んでる訳で、そこら辺りが写真の面白いところじゃないかな。この少年野球の写真だって バッターの親が撮れば バッターのタイミングで撮るし ピッチャーの親から見ればピッチャーを見ている それぞれ見えているものが違うわけで。背景のマンションに住んでる人が見れば『これ 俺のマンション ここ!! ここ!! 』となる。新幹線の運転手だったら 『ここ いつも通ってるんだよ』みたいな話になるだろうし グランド 作ってる人達なら グランドが気になるだろうし 気象予報士は この雲で なんか思ったりとかさ。情報は等しくあるっていう面白さだね。」
湯浅さん モノクロ 16枚
「自分が何かに反応して撮ってるっていう具体的なものが見えてくる方が 面白いなぁ〜と思うのよ。こういった情緒的なしっとりとした写真もイイんだけど あんまり若いのに こんなところに走らなくても いいんじゃないかと・・・・ね。俺も人のこと 言えなかったけど ジジ臭いよ。ジジ臭くなっていくのは もっと後でイイじゃないか。湯浅君が『何を面白がっているのか?』『こんなこと面白がってる』とか そういうものが欲しいんだよ。だから みんなが『しみじみイイ風景ですなぁ〜』みたいなのは 若者は やらなくて いいの。
いくら過激な内容の歌詞でも演歌の伴奏をしたら演歌に聴こえちゃうじゃないですか。悪くはないんだけど、まぁ 一種のフィルターだから これ掛けちゃうと みんな そういうふうに見えちゃうんだろうね。ハード コントラストも そういうことだし、やっぱり ここで イメージを決めてしまうのは あんまり僕には面白くないな 。使っちゃいけないとは言わないけれども 、折角 面白いものを撮っていてもそこまで目が行かないよ。いや 分かるけどね・・・・ひとつ珍しいエフェクター買ったみたいな感じだからさ。・・・・まあね そのうち飽きるから。」
「 これが半切くらいの裁ち落としの写真だったら 全然 違って見えると思うんだよね。やっぱり プリントサイズで見え方 見せ方 変わっちゃうんで。8×10 焼くのも 大四 焼くのも作業的には 変わらないじゃない。お金は ちょっと掛かるかも しれないけれど。自分の写真のサイズは どれくらいのサイズが いいのか を考えてみても いいと思うんだよ。みんな 小さいんですよ 最近・・・・省エネ型で・・・・俺が悪いのか。でも最近 俺 の少し大きいよ、俺は あの時 何で小さくしたかっていうと 当時みんな写真 デカかったんだよ。美術館とか ギャラリーとかで やる写真はがどんどん大きくなってきていた、だから俺は 逆に小さくしようと思って したんで。今 みんなが小さいなら 俺は大きくするとか どこか へそ曲りじゃないと・・・・人と同じことを やらないことを考えた方がイイよ。トーンとか 大きさとか 撮るものとか・・・もしこれを 今 街道の連続展のところに混ぜて貼っても 全然 違和感なく見ると思うんで。やっぱり それじゃ 面白くないんだよ。なんか変なのが 違うのが入ってるって見えないと つまんないじゃん。」
「貯金とは言わないけれど 漬物を漬け込んでるんだと思えば 後から引っぱり出して それを出すことは出来るんで。数を撮って貯めておくことは 大切ですよ・・・・」
紙屋さん カラー 22(7+15)枚
「(木を倒した男シリーズ) 連作の中ではこれがやっぱり一番 面白いね。幹が折れてるところが やっぱりスゴイんだよね。これ でっかいの見ると カッコイイと思うわ。ポーズも決まってますね・・・・挑んでますもんね」
「紙屋さんの写真にはめずらしくサービス精神があるような気がします、この写真には。見てる人を 『何とかしてやろう』っていう。でも それは大切なことだと思うけどね。どうですか?
今の現代写真には 『でも ちょっと待てよ』っていうところがありますね。『本当に それは君も楽しいのか? 見てる方も楽しいのか? 本当に』って。写真は難しいなぁ〜。断絶してしまうのも 1つの手だと思うけど こうやって 双方でコミュニケーションとれるような写真も もちろんありだし。
この人達の何が 惹き付けるのか分からないから面白いっていうところがあってさ。決して魅力的な具体的なものを撮ることじゃなくて 『何が来た?』って感じたその片鱗をを ちょっと確認してみるっていうのは 面白い作業じゃないかなと思う。多分 はじめは偶然 撮れちゃう、だから難しくて面白い。やっぱり写真は 面白くなきゃ。正しいとか正しくないじゃなくて それが 何だか分かんないけど面白いっていうのが 写真のイイところ。こっちには 少し悪意があるから面白いってところがあるかもな。見てる人が共犯関係になるからお互いに面白いんだろう。撮る方と撮られる方の立場の差。一方的に こっちが撮っている訳で それは写真を撮っている限り どうしようもない訳で。同じところに立っているつもりでも カメラで撮っているということで格差は どうしてもでてしまう」
高柳さん モノクロ 9枚
「めずらしいですね こういう写真。ヨドバシカメラの周りって あそこで写真 撮るのって ちょっと微妙な感覚ですよね。」
「どうしても新宿で撮っている人ってさ新宿をカオスみたいに、とんでもない格好の人と乞食しかいないみたいな撮り方をするけれど、そうじゃなく普通の人が歩いているこういう写真があって然るべきだと思うんだよね。むしろ普通の人が写ってる方が面白いんじゃないかなと思うよ。おかしな人達を撮ると 何か大きな魚 釣ったような気がする訳ですよ。でもそれは おかしいなと思うんだよね。一番 大きなカブト虫 採ったもん勝ちみたいな写真てどうかなって思うんだよ。こういう普通に街の中に人が歩いてる写真が やっぱり一番・・・・多分 時間が経った時に面白いのは こういう写真なんだろうなと思うんですよね。」
「写真を撮るということは 『俺は あんたが面白いと思うんだよ』っていうことじゃないですか。もちろん面白い格好をして撮ってもらって嬉しい人もいると思うんですよ 目立ちたくて しょうがないんだから。でも自分は 何でもないと思ってる人が その面白い人と並べられたらどう思うんだろう。それは 人だけじゃなくてボロボロの家を見てカッコイイとか思うところがあったりするからね。作品とか言われてもさ 『これ 俺んちじゃん ボロ家で悪かったな!!』そんなことが きっとあるだろうから写真 撮る時には気をつけたいと思います。・・・・一昨日も瀬戸内の島で撮ってたんだけど、すごくイイ光で 港があって コスモス咲いてて ちょっと古い壁があって 機械が捨てられてたりして いいなぁと思ってたら そこが お店の前で、お店の人が『お前 何 撮ってんだよ』って 漁師言葉で すごい怒られて・・・『こんなところで俺は毎日 住んでるのに それが面白いのか』みたいな・・・・それは もう 言い訳 利かない。写真撮るっていうのは そういうことが どこかについて廻ることだと思うんだよね。でも それが なくなっちゃったら面白くないんだよね・・・・難しいね。そこに悪意が あるかどうかだと思いますよ・・・・人 撮る時も もの撮る時も。」
程田さん カラー 21枚
「程田君は 通過していってるだけなのね、街と関わってない感じがするんですよ。自分が街を歩いて気付いたものを どんどん出してくっていうのも ひとつのやり方だと思うんだけど、ひとつ 強いものが欲しいんですよね 程田ワールドの核。・・・もっと圧倒的な量があって 500ページの本を作る時に いろんなものが混ざるのは面白いと思うけど 50枚くらいのところで混ざっちゃうと 訳 分かんなくなる」
「距離とか タイミングとか分かっきて、その上手さが出ちゃうと そこで終わりなんだよね。破壊力が欲しいんですよ 、もっと自分のセルフ ポートレート的なものを ガンガン出したりアクの強さや押しの強さが 出てくると面白いと思うんだよね。厳しいことを言うようだけど、自分のオリジナリティというか 見せ方を考えて出していった方が いいんでしょうね。『こんな大盛りカレー 食った』みたいな写真と 自分のセルフポートレートが イレコになってるくらい。やるんだったら徹底的に出していったほうが いい『もう いいよ』ってくらいになってようやく 『ああ 程田の写真だ』って分かるんじゃないか。 見た人が ギョッとするようなものを作った方が いいっすよ。街のスナップは もちろん上手なんだけど なんか まとまり過ぎちゃってて 街歩きの写真の作例を見てるみたいなんだよ。ここに写ってる人達が 大人しい人達ばっかりだから。君が いい人だって よく知ってるけど。ここは どっかで壊していかないと」
岡島さん カラー 17枚
「まぁ 何となく 岡島さんの好きなもの 好きな世界なんだよなって感じになってきてますね。ただ 投げっ放しの どうする?って感じだなぁ。バラバラ感の中に岡島さんの趣味が漂っている感じですね。1枚1枚 関連付けることはないけど 大きくザクッと見た時に 統一感があるっていうか 不思議な感じだね。何か覗き込む感じとか 洗濯物とか。」
「このトリミングの納まりの悪さとかも含めて、見てる方の気持ち悪さが岡島さんの写真の特徴だったりする訳ですよ。さっきの程田君の『納まり良過ぎるよ』っていう写真の裏側に これが やっぱり あるんだよね。こういう写真は意識的に撮ろうと思っても撮れないのよ。多分 程田君も撮れない。俺も撮れない。こんな気持ち悪いトリミングの仕方 したくないから。僕達は やっぱり納めちゃうから。それが出来るっていうのは ひとつの才能だろうし」
「上手な写真が何で面白くないかっていうと 『上手だな』って 心地良く さっと流しちゃうから 確認しないから 『あっ 上手な写真』って見られて お仕舞いになっちゃう。そこの前で 『何で この写真が上手なのか いいのか』ってことは 考えないと思うんですよ。でも岡島さんの写真は 『これ 何 撮ったんだよ?』 『どうして こうゆう構図なんだよ!』って考えるじゃない。」
小林さん カラー 13枚
「やっぱり 数 撮らなきゃ。サファリパーク行って フィルム1本 2本じゃ 寂しいじゃないですか。最初から ある程度 どう撮ろうかとか 漠然としたイメージがないと『あ〜 どうしよう どうしよう』っていう感じで サファリバスは廻り終わっちゃう。写ってないかもと思ってても、とにかくシャッター押してくれば 何か写ってるからね。」
「こういう垣根を越えた写真で 1つの世界を作ろうと思ったら もっと数が ないと 選べないよね・・・手焼きのプリントを なぜ作りたいか みたいなことも、色だとかね クオリティだとかに 自分のこだわりがどこにあるのか 。フィルム撮ったら 全部 自分でプリントしなきゃいけないなんてことは 全然ない訳で、予めこういうものを作ろう決めてから暗室に入っていかないと。気に入ったやつを順々に焼いていったら いつまで経っても 追いつかない。機械焼でもコンタクトでもいいけど 20枚 40枚を選んで、これで 1つの作品を作るって決めてから暗室に入れば そんなに難しくないと思うんだよね。ロスが少ないでしょ 時間と紙と。だから自分が何を作ってるかを ある程度 分かってないと。 一日 6枚くらい焼ければ 1週間くらい入っていれば40枚くらいは出来るわけですよ。でもまだネガカラーに こだわるの? 先のないメディアに。俺が小林さんの歳だったら 絶対 乗換えてるよね。より簡単に自分の好きな色が出せるだろうし。今までにネガ 何本くらい持ってる? でも これから撮っていく数の方が絶対に多いんだから。デジタルだと もっとバシバシ撮れるんじゃないの? バシバシって いい方も古いか? こういう写真は そっちの方が向いてると思うけどね。」
鈴木さん モノクロ 17枚
「まぁ 似たような写真が多いから もう少しバリエーションがあると いいね。要するに配置だとか 大きさだとか。これでクモのシリーズ 作る訳じゃないでしょ ?例えば この写真とかは ちょっと幻想的だけれど これは 昆虫写真っぽいんだよね 生でね。どういうイメージで作るかなんじゃない。ちょっと 真ん中に クモ 置き過ぎちゃったけどきれいだね。これ みんな1匹のクモなの? 覗いてる時は面白いんだよね きっと。出来上がり 想像しながらやるから。
鈴木さんは毎回 違う写真を 持ってくるよね。次回の写真も今回の蜘蛛とどこかでクロスするようなものを持ってきてもらえばいろいろ話もしやすい。意識的に繋がっていった方が 写真ってさ 面白いんだよ。何でも撮れちゃうんだけど 自分が やりたいことを決めておいて、これと繋がるものって・・・・いい機材とテクニック持ってるんだから 一回 完結じゃなくて 自分の写真が広がっていく面白さを 考えた方が いいですよ。」
曽根さん カラー 12枚
「どのくらいのボリュームの 何を やるのか、展示をやるとか 本を 作るとか、その上でどう選んで行くかで、この写真の中のどれが いいですかって話じゃないと思うんで。」
「どの写真を代表にしようかな 写真集にするなら表紙は どれにしようか 、それを核として 組み立てていくって ことだよね。(焼きに入る前にコンタクトの段階で 核になる写真を決める) もう見た時に 分かるじゃん これが好きって。大体 プリントはじめる時も それから焼くでしょう。 よく分からないとこから焼き始めたら、どこ行っちゃうか、どれだけ焼いていいか分からなくなって結局 全部 焼かなきゃいけなくなっちゃうからね。まず自分のお気に入りを・・・DMで送られてきて その1枚で その写真展に行くか 行かないか を決めたりする訳で、すごく大切なことだと思うんですよ。」
以上。
次回 :11月19日 馬橋会議場
こんにちは、街道塾東京第4回目のレポートです。
今回は本来であれば五位野さんの予定でしたが、急きょお休みということで、
代打で鈴木が務めさせていただきました。写真はいつもどおり程田さんです。
場所は第1回と同じ馬橋会議室です。
尾仲さんがフランス・ドイツに行っていたので、2か月ぶりの開催となりました。
今回は9人。街道塾OBの畔柳さんが見学にいらっしゃいました。
尾仲さんのドイツみやげのチョコレートを食べながらのスタートです。
なお、「」内は特に記載がない限り尾仲さんの発言です。
急いでメモを取っているので間違いや抜けているところもあるかも知れませんが
ご了承ください。また発言は写真を見ながらのものなので、わかりづらい部分も
あると思いますが、少しでも当日の様子が伝われば、と思います。
1.鈴木 カラー18枚
「不確かなものでくくると統一感を感じるけど」
「(畔柳さん)陰湿なトーンのみを見て、(写真の)中身を見てもらえないかも」
「見ている人が全く共感できなくても少し謎を残したほうが面白い」
「前よりいろんなものを撮っていて面白い」
「写真て弱いから、色味やトーンを変えることでよく見えちゃう」
「モノをしっかり見せようと思えばノーマルなプリントがいい」
2.湯浅さん 銚子 モノクロ20枚
「銚子どうだった?」
(湯浅さん『風が強かったです』)
「モノクロはまずトーンを見られちゃう。このトーンでよかったのかな?」
「シャドー部の落ち具合がもったいない」
「銚子を説明する必要はない、銚子で何を見つけたのか?」
「面白いならその場所を集めた写真を見せる」
「”私の旅日記”にならないようにしたほうがいい」
「写真は組み方だと思う」
「撮り方がすごいシンプル」
(畔柳さん『同じの何カットも撮りますか?』)
(湯浅さん『ほとんど1カット。中には3カット撮ったのもある』)
「その街が面白いと思ったら街に任せてしまう」
3.紙屋さん カラー16枚
「どっかで切っていく見せ方がある」
「うまさを拒否していく」
「中平さんの写真て、中平さんの興味じゃないですか」
「興味のあるものと写真を撮るものは違う」
「非写真的な被写体を撮って作品として成立させる」
「崩していく・外していく・離れていく先に何があるのか?」
「写真っぽくなくしていくやり方、それも一つの撮り方、それが面白いと思えるか」
「うまく外した=うまく撮れた」
「矛盾を感じている中で選ぶあやうさ」
「こういう中に一つ写真的なものが入っていると浮いているんだけど気になる」
(紙屋さん『基本的には植物が好きでそれを撮りに行っているけど、
それだけではつまらないと思う自分がいる』)
「(植物以外の被写体には)植物的なものを感じているのかも」
(紙屋さん『外す、外すと考えると難しくなっていっちゃう』)
「直感でパッと撮っちゃう。確認せずに撮る」
4.高柳さん モノクロ10枚
「モノクロってやっぱりトーンで見る。このトーンで出されたときに美しければ
美しいほどトーンで見せられている気がする」
「このトーンだから面白く見えるが、このトーンでなければいけないのか?」
「印刷では出ないトーン。じゃあ、この写真の魅力は何だったのか?となっちゃう」
「印画紙がなくなってこれまでの色が出なくなりますよ、って言われてもそこで勝負しているわけではないし、
そんなのでダメになるようならそんなもんでしょ」
「写真の良さというのは、印画紙の違いなどでダメになるものではない」
(畔柳さん『展示されていたら立ち止まるきっかけがいっぱいありそうな写真』)
「こういうプリントに合った被写体を探して撮っていったら」
(畔柳さん『マクロとミクロとを行き来できるような写真』)
5.程田さん カラー30枚
「前回までのおさんぽ写真だけじゃない写真も」
「その中でどの面を自分で出したいか」
「日々撮った写真が僕の写真だ!ということができるか。そこにファンがついているか」
「キャラクターは大切」
「見ているほうは、この人(撮影者)はどういう見方をしてるのかが気になる」
「違う要素の写真が出て来ると、見ている人はどうしたんだろう?と思う」
「一つ基本が決まると素直に見れちゃう」
「どっかとっかかりがあると見ている人はこの人(撮影者)の興味がわかる、人とか」
「いろいろなものが入っていて、何を見て話したらいいのか迷っちゃう」
「撮りたいものを撮りたいように撮っているから上手く撮れ過ぎちゃっている」
「いろいろ実験してみる。悪いこと考えるとか(笑)」
「人物中心的な持って行き方してみてよ」
6.小林さん カラー16枚 最近のと2年前の写真
「色も大切だけど何に興味があるのか大切」
「何かレイヤー的なものが好きなんだよ」
「人物を撮ることに興味があるか?撮り方よりもモチーフとして」
「(幟のアップの写真を見て)大いなる挑戦だよね」
「いわゆる旅ものじゃなくて小林さんの目」
「あとは人のスナップをやりたいかどうか。人のスナップをする人は
どっかですごく残酷な性格の人。(小林さんに)そういう要素があるか?」
「人は写っているけど重要じゃない撮り方も面白いけど意識的にやるのは難しい」
(小林さん『人物を撮りたいというわけではない』)
「興味があるものを楽しみながら撮らないと続かない」
「どうせやるなら難しいほうが面白い」
「(2年前の写真を見て)言い方悪いけど、商売になりやすい」
「もっといっぱい見たら面白いと思うかもしれない」
「作家として出していかないと存在できない」
「展示することを前提に50枚作品を作ってみる」
「何やっているんだろうと思っても絶対にわからない」
「褒められようなんて思わないこと」
7.曽根さん カラー24枚 国内とハワイ
「国内とハワイは色味を意識的に変えているの?」
(曽根さん『いいえ。国内のほうはシアンが強くてかなり補正したけどまだ残っている』)
「色調にもう少し統一感があってもいい」
「これから印画紙はどうする?感材の件は生殺しみたい。地デジみたいにあと○年。とか
決めてくれればいいのに」
「僕があなたくらいの年齢だったらカラーネガを捨ててるな」
「(撮影の対象が)徐々に広がると思う」
「晴れた日の写真は曽根さんぽくない」
8.倉田さん カラーパノラマ17枚
「ストーリー仕立てになっているの?」
(倉田さん『なんとなく』)
「パノラマと意識しだしてくると窮屈になる。自分がパノラマを使ったときは”スナップを撮ろう”と思った」
「カメラに自分の撮り方を決められちゃうのはつまらない」
「特殊なフレームを使うと絵作りになっちゃうのはつまらない」
9.奈良さん カラー15枚
「単なる複写じゃ面白くないと思う」
「半分複写、接写みたいなので作っていくと面白い」
「昼の写真をやめて、夜の無国籍な感じが面白いのでは?」
「リアルな複写で面白くするならもう一つ何かほしい」
「リアルすぎて逆に写真ぽくない」
「状況説明をしない写真が並んでいるのが面白い」
「ストロボを焚いて撮ったらこんなのになっちゃった感が面白い」
「妙なアクシデントじゃない写真でもいい?」
以上で終了です。最後に集合写真をパチリ。
来月は杉並区の会議室などが節電対策で休館のため、
阿佐ヶ谷駅近くの「山」という元スナックのレンタルルームで尾仲さん秘蔵の
映像を上映することに。打ち上げに行く途中、「山」の場所を確認。
打ち上げは予定していた中華料理屋さんが臨時休業。一旦街道に行って、
和田屋さんへ行きました。本山周平さんや個展開催中の佐藤春菜さんたち
ゲスト多数!2次会さくら水産まで盛り上がりました。
次回はレポートあるんでしょうか?あれば、五位野さん、お願いいたします。